【保存版】二胡弓職人 王小迪さん資料(2/2)

 本日は2つ目、「弓の選び方」に関する記述について、以下に翻訳文を掲載いたしますので、ぜひ、ご参考にしてくださいね!

1つ目「弓の保管方法」はこちら←

 


※一部、日本語にて解釈しやすい表現とするため、追記や図の追加、原典とは表現が異なる部分がございます。

【弓の選び方】※転載禁止

 古人に曰く、工欲善其事,必先利其器(工、その事をよくせんと欲せば、必ずその器を利とす)。二胡の美しい音色を引き出すためには、演奏技術の鍛錬はもちろんのこと、よく手に馴染む弓選びは欠かせない条件になります。

 では弓をどう選べば良いのか?弓の製作者として長年の製作から得た経験をここでまとめてみます。プロ演奏者や二胡愛好家の皆様が弓を選ぶ時の参考にしてください。

 

① 民族楽器の弓は天然の竹を原材料としているため、竹の品質が極めて重要になります。良質な竹は、手に取るとその弾力、靭性、それに重みを感じます。一般的に言えば弓竿の優劣は竹の太さが均等かどうか、節が丸いかどうかにより決められています。直径、長さが同じ竹なら重いほうを選んでください。

 私が作る標準弓は長さ83cm、竹の直径は0.65 ,0.70, 0.75 0.80 cmとそれぞれです。初心者、あるいは主に伝統曲を演奏する方には、竹の直径がやや太い方をお勧めします。弓の動きが安定するからです。また、主に移植曲や協奏曲を演奏する場合や、抛弓,跳弓などの演奏技法を使用する場合は、竿が細めでやや軽めの方をお勧めします。弓の動きが軽快で、演奏しやすいです。

 

② 筒が六角形の二胡には弓先端の彎曲が大きい弓を選び、八角形の二胡には弓先端の彎曲が小さい弓を選んでください。演奏時に竹が琴筒に接触しないためです。また、手で握るところの竿の彎曲が適切で、手にフィットするものを選んでください。彎曲が適切な弓は、演奏者の腕の動きがスムーズに、自然になります。また、少ない力ですばやく換弦できて、最小限の動きで最大の音量及び良好な音質が得られます。一般的に言えば、持ち手部分の竹の彎曲が大きくない方が良いです。

 

③ 弓毛の品質が良いものを選んでください。二胡は、松脂を塗った弓毛と弦の摩擦により生じた振動が、駒を介して蛇皮に伝わり、筒内で共鳴して美しい音色を発します。

 ナイロン、品質の劣る馬尾、質の良い白馬尾いずれも、松脂を塗れば音は出るが、ナイロンや品質の劣る馬尾で出した音は騒がしく、雑音が多いです。一方、良質な白馬尾で出した音は甘くまろやかです。その理由は、良質な白馬尾の表面のキューティクルは均等で鋭く、弦との摩擦がきれいに生じているからです。

 反面、ナイロンの表面にはキューティクルがありませんし、質の劣る馬尾のキューティクルは、毛をクリーニングする過程で、薬品により痛んでしまっています【質の劣る白色の馬尾は、黒色馬尾や花色馬尾(栗色、灰色など白以外の毛が混在したもの)を漂白・染色して作ったもの】。したがって、これらの馬尾で出した音は、良質な白馬尾で出した音とは比べものにならず、楽器の本来の美しい音色を十分に引き出すことができません。

 では、どうすれば馬尾の質を識別するのか?

 天然馬尾は、一本一本色が微妙に違います。また、概ね根元の部分(お尻に近い部分)が白く、先端が黄色くなります。もし馬尾の色が根元から先端まで一色で、しかもとても白くて明るい場合、漂白された可能性が極めて大きいです。これは馬尾を選ぶ重要なポイントになります。弓を選ぶ時に、よく観察してみてください。

 

④ 最後に、松脂について話します。松脂はただの補助部品ですが、その品質の優劣は音色に大きく影響を与えるため、質の劣る松脂の使用は避けるべきです。不純物が入っていない、付着力が強い、粉塵が少ない、硬さが適切な松脂を選んでください。良い松脂は弓毛の寿命を延ばすことができます。

 


 

 

 

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